May 01, 2009

『僕のピアノコンチェルト』 (2006年スイス)

僕のピアノコンチェルト僕のピアノコンチェルト
著者:洋画
出演:テオ・ゲオルギュー
販売元:ポニーキャニオン
発売日:2008-05-21
おすすめ度:4.5
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 「山の焚火」「最後通告」といった個性的な作品で日本でも知られるスイスの巨匠フレディ・M・ムーラー監督が、ピアノと数学に天賦の才を発揮する天才少年の孤独と心の成長を描くヒューマン・ドラマ。天才ゆえの苦悩を抱えながらも、両親や周囲との軋轢を乗り越え本当の自分を掴み取ろうと悪戦苦闘する少年の姿を、ユーモアを織り交ぜ優しい眼差しで綴る。主人公ヴィトスの12歳を演じるテオ・ゲオルギューは、自身も国際的なコンクールでの優勝実績を持つ新進ピアニストで、劇中の演奏シーンも彼自身がこなしている。スイスを代表する名優ブルーノ・ガンツが、主人公と心を通わす祖父役で出演。
 人並み外れたIQを持ち、ピアノを弾かせればまるで巨匠のような腕前を披露する天才少年、ヴィトス。やがて両親のレオとヘレンは、息子を一流のピアニストに育てるべく音楽学校に通わせることを決意する。しかし両親の過剰な期待がありがた迷惑でしかないヴィトスにとって、お祖父さんだけが唯一の理解者であり、お祖父さんと一緒に過ごしているときだけが心の安まる時間だった。やがて12歳となったヴィトスの生活はますます息苦しく孤独なものとなっていた。そんなある日、ヴィトスはマンションから落ちたところを発見される。怪我はなかったものの、事故の後遺症で高いIQもピアノの才能も失い、すっかり普通の男の子になってしまったヴィトスだったが…。(allcinema)


少年は「天才」が嫌だった。
普通の人になりたいと願った。
神童として扱おうとする大人が嫌だった。
そして「天才」であることから感じる重荷に耐えかねた時、
そばにいてくれたおじいちゃんがこう言った。


「決心がつかない時は大事なものを手放してみろ」

少年、ヴィトスはあることを決行する。



祖父役のブルーノ・ガンツの存在感がいい。
主役ではなく脇役として主人公を支え、
けれど居なくてはこの映画はありえないような。

「天才」やそこにまつわる様々な葛藤。
彼を囲む家族や学校の苦悩。
そういった物語を描いた映画は今までいくつもあったと思う。
その中で私はこの作品を一押ししたい。
それはこの映画が上述の要素をなぞったものではなく、
おじいちゃんと孫の、年はなれたこの友人たちの、
おじいちゃんにとっての息子夫婦、
ヴィトスにとっての両親へとひそかに広がる温かい愛情を少し奇抜に、
そして思わずニンマリしてしまうような痛快さをもって描いているからなのだ。

とても好きな作品。


2009年1月



vespertide at 00:00│Comments(0)TrackBack(0) 映像 

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