April 19, 2009
有川浩 『レインツリーの国』
2009.4
レインツリーの国
著者:有川 浩
販売元:新潮社
発売日:2006-09-28
おすすめ度:
クチコミを見る
何も知らないまま、この言葉に惹かれる何かを感じるなら。
この本は何の前情報もなく読まなければいけない。
知らない、ということがとても重要な意味を持っているし、
読み終わってから今度は逆に知っているという状況で読み返すことも大切だ。
そこでやっと「知らない」ということの重大さを見つけられるから。
新宿の本屋さんや垢抜けてない感じ、じっと見詰めてくる仕草といった話は
僕の中である一人の女の人を自然と形作っていく。
こう書くと書かれた本人はいったいどういう解釈をするだろうと
心中むずがゆく苦笑いをしてしまう。
言葉を選ぶ真剣さ、言葉に向かう真摯な態度は
対面よりもメールでは余計に(もしかしたら過剰に)感じられる。
だからだろうか、面と向かって話している時よりも
何かしらもっと大きな、深いものを分かち合っているように思えてしまうのは。
そしてそういうことが事実ありうるということは
話をするようになってずいぶん時が経ってからでなくては確信しきれない。
メールはとても不思議な違和感を、
触感はあるのに手の中には何もないというような感覚を残す。
そのために確かめたくて、確かなものに触れたくて、
そして手を伸ばした時、「本当の意味では理解できない」ことを知る。
けれど
「結局そのめんどくさい彼女のことが好きなんじゃない」(164)
僕も主人公の伸行と同じで
実際はいろんな負担がかかって噛み合わせがずれてしまうのが大抵だろうけど、
ずれ込んでしまうまでは、どうしたって楽しいのだ。
その楽しさを実感しているとき、ふと、
たぶん理解どうこうを超えて近づきたいと思っていることに
気付くんじゃないだろうか。
レインツリーの国
著者:有川 浩
販売元:新潮社
発売日:2006-09-28
おすすめ度:
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きっかけは「忘れられない本」
そこから始まったメールの交換。
あなたを想う。
心が揺れる。
でも、会うことはできません。
ごめんなさい。
(帯より)
何も知らないまま、この言葉に惹かれる何かを感じるなら。
この本は何の前情報もなく読まなければいけない。
知らない、ということがとても重要な意味を持っているし、
読み終わってから今度は逆に知っているという状況で読み返すことも大切だ。
そこでやっと「知らない」ということの重大さを見つけられるから。
新宿の本屋さんや垢抜けてない感じ、じっと見詰めてくる仕草といった話は
僕の中である一人の女の人を自然と形作っていく。
こう書くと書かれた本人はいったいどういう解釈をするだろうと
心中むずがゆく苦笑いをしてしまう。
言葉を選ぶ真剣さ、言葉に向かう真摯な態度は
対面よりもメールでは余計に(もしかしたら過剰に)感じられる。
だからだろうか、面と向かって話している時よりも
何かしらもっと大きな、深いものを分かち合っているように思えてしまうのは。
そしてそういうことが事実ありうるということは
話をするようになってずいぶん時が経ってからでなくては確信しきれない。
メールはとても不思議な違和感を、
触感はあるのに手の中には何もないというような感覚を残す。
そのために確かめたくて、確かなものに触れたくて、
そして手を伸ばした時、「本当の意味では理解できない」ことを知る。
けれど
「結局そのめんどくさい彼女のことが好きなんじゃない」(164)
僕も主人公の伸行と同じで
実際はいろんな負担がかかって噛み合わせがずれてしまうのが大抵だろうけど、
ずれ込んでしまうまでは、どうしたって楽しいのだ。
その楽しさを実感しているとき、ふと、
たぶん理解どうこうを超えて近づきたいと思っていることに
気付くんじゃないだろうか。