March 2009
March 13, 2009
『4分間のピアニスト』 (2006年ドイツ)
4分間のピアニスト [DVD]
出演:モニカ・ブライブトロイ
販売元:ギャガ・コミュニケーションズ
発売日:2008-06-06
おすすめ度:
クチコミを見る
カメラワークが私は好きだった。
並んだ2人の人物を横アングルから撮影。
背景にピントを合わせ、
その後一人一人とずらしながら焦点を合わせてフレームアウトさせていく、など。
そうそう、ラジオから流れる音楽をBGMにしていくオープニングは「いいな!」と思った。
映画最後の4分間。
それが邦題である「4分間のピアニスト」へとつながる。
あれはきっと魂のほとばしりだったのかもしれない。
ドラマチックに、ダイナミックに最後を締めくくった瞬間。
けれど私はそこに何か腑に落ちない何かが残っていた。
確かに本作品は魅力的な映画だ。
しかし、心残りのようなものを感じたのはここで全てが完結し、
それだけではなく「何もかもが終わった」という印象からかもしれない。
それは一般に映画が終わって「終わった」と感じる安堵感や満足感とは違って、
もしかしたら「あれ?」という感じのようなものにも思える。
単純に期待していたものとは違っていただけのようにも感じるが。
あと、クライマックスに対して、瞬間瞬間の勢いではなく、
映画の流れとして入りこめなかったのは、直前のシーン、
クリューガーが自らの過去をジェニーに教える場面が大きなひっかかりとなったように思える。
「そんなこと私には関係ない」的にジェニーが
クライマックスを飾ったのだと捉えることができるが、
それにしてもクリューガーの過去自体が、
「映画みたいな作り」のように思えてならなかったのが、
作品全体としてひっかかった点だろう。
素直に受け止めればいいのだろうけど、そこの点がやや気になった。
ああ、サントラほしくなるかも。シューマンのCDとかも。
2008年
出演:モニカ・ブライブトロイ
販売元:ギャガ・コミュニケーションズ
発売日:2008-06-06
おすすめ度:
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本国ドイツで大ヒットした音楽ヒューマン・ドラマ。類いまれなピアノの才能を持ちながら殺人犯として収監され、刑務所の中でも手のつけられない問題児となった女囚と、彼女の才能に惚れ込み残り少ない人生を懸ける老教師、そんな2人の女性の魂のぶつかり合いを衝撃的に描く。主演は新人ハンナー・ヘルツシュプルングとドイツの人気俳優モーリッツ・ブライブトロイを息子に持つベテラン女優モニカ・ブライブトロイ。
ピアノ教師として刑務所を訪れたトラウデ・クリューガーは、机を鍵盤代わりに無心で指を動かしている女性に目を留める。彼女の名はジェニー。天才ピアニストとして将来を嘱望されながらも道を踏み外してしまい刑務所暮らしの日々。心を閉ざし、衝動的に暴力を振るう彼女は刑務所内でも札付きの問題児。それでも、ジェニーの才能を見抜いたトラウデは所長を説得して特別レッスンを始める。来るべきコンクールでの優勝を目指し、厳しくも情熱をもって指導に当たるトラウデに、ジェニーも次第に心を開き始めるのだったが…。(allcinema)
カメラワークが私は好きだった。
並んだ2人の人物を横アングルから撮影。
背景にピントを合わせ、
その後一人一人とずらしながら焦点を合わせてフレームアウトさせていく、など。
そうそう、ラジオから流れる音楽をBGMにしていくオープニングは「いいな!」と思った。
映画最後の4分間。
それが邦題である「4分間のピアニスト」へとつながる。
あれはきっと魂のほとばしりだったのかもしれない。
ドラマチックに、ダイナミックに最後を締めくくった瞬間。
けれど私はそこに何か腑に落ちない何かが残っていた。
確かに本作品は魅力的な映画だ。
しかし、心残りのようなものを感じたのはここで全てが完結し、
それだけではなく「何もかもが終わった」という印象からかもしれない。
それは一般に映画が終わって「終わった」と感じる安堵感や満足感とは違って、
もしかしたら「あれ?」という感じのようなものにも思える。
単純に期待していたものとは違っていただけのようにも感じるが。
あと、クライマックスに対して、瞬間瞬間の勢いではなく、
映画の流れとして入りこめなかったのは、直前のシーン、
クリューガーが自らの過去をジェニーに教える場面が大きなひっかかりとなったように思える。
「そんなこと私には関係ない」的にジェニーが
クライマックスを飾ったのだと捉えることができるが、
それにしてもクリューガーの過去自体が、
「映画みたいな作り」のように思えてならなかったのが、
作品全体としてひっかかった点だろう。
素直に受け止めればいいのだろうけど、そこの点がやや気になった。
ああ、サントラほしくなるかも。シューマンのCDとかも。
2008年
March 12, 2009
『300』 (2007年アメリカ)
300〈スリーハンドレッド〉 [DVD]
出演:ジェラルド・バトラー
販売元:ワーナー・ホーム・ビデオ
発売日:2008-07-09
おすすめ度:
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映画が史実通りであるはずもなく、
また歴史もまた常に一定のものであるわけがないので、
当時のギリシアの国家軍とペルシアについては触れない。
映画として、そりゃもちろん『スパルタカス』や、
近年の『グラディエーター』の方がドラマ性もあるのだろうと思う。
映像の作り方を一貫しているのが雰囲気を出していること、
残虐なシーンがあってきっと映画館の大型スクリーンで見たら大迫力だろうなと思うこと。
その辺かな。
最近よくある、映像美を求めた作品。
2008年
出演:ジェラルド・バトラー
販売元:ワーナー・ホーム・ビデオ
発売日:2008-07-09
おすすめ度:
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無謀なる壮絶な戦いに生身の屈強な男たちが立ち向かう迫力の歴史スペクタクル。100万のペルシア大軍をわずか300人のスパルタ軍が迎え撃つという伝説的な史実“テルモピュライの戦い”を基に「シン・シティ」のフランク・ミラーが著わしたグラフィック・ノベルを斬新なビジュアルで映画化。監督は「ドーン・オブ・ザ・デッド」のザック・スナイダー。主演は「オペラ座の怪人」のジェラルド・バトラー。
紀元前480年、それまで千もの国々を征服してきた大帝国ペルシアはスパルタを次なる標的に定め、ペルシア大王クセルクセスに服従の証を立てるよう迫ってきた。これに対し、戦士の国スパルタの王レオニダスはその要求を一蹴、100万の軍勢を持つペルシアと戦うことを決意する。そして、レオニダスのもとには強靱な300人の精鋭が集結するのだった。さらにアルカディア軍などの援軍も得たレオニダスは、海岸線に連なる狭い山道のホット・ゲートに敵を誘い込む作戦を掲げ、300人の勇士と共に立ちはだかる。やがて、ペルシアの大軍が現われ、熾烈極まる死闘が始まった。圧倒的に不利と思われたスパルタ軍は怒濤の攻撃で敵軍を粉砕し、緒戦となる一日目は勝利を収めるのだが…。(allcinema)
映画が史実通りであるはずもなく、
また歴史もまた常に一定のものであるわけがないので、
当時のギリシアの国家軍とペルシアについては触れない。
映画として、そりゃもちろん『スパルタカス』や、
近年の『グラディエーター』の方がドラマ性もあるのだろうと思う。
映像の作り方を一貫しているのが雰囲気を出していること、
残虐なシーンがあってきっと映画館の大型スクリーンで見たら大迫力だろうなと思うこと。
その辺かな。
最近よくある、映像美を求めた作品。
2008年
March 11, 2009
『アポカリプト』 (2006年アメリカ)
アポカリプト [DVD]
出演:ルディ・ヤングブラッド
販売元:ポニーキャニオン
発売日:2007-11-21
おすすめ度:
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全編をマヤ語を使い、出演俳優は無名ばかりという、
『パッション』に続くあの話題のメル・ギブソン監督作品。
彼の作品は、彼自身もまたそうだが、何かと話題を作っている。
今作も、学術的にも監督的にも物議をかもしている(らしい)。
残虐な暴力シーンはとても激しく、それだけで苦手な人もでてくると思う。
私は映画として若干の客観性をもって見ているので平気ではあるが、
それでもちょっとだけ眉間にシワが寄ってしまった場面もあるように感じる。
ただ映画というよりは、海外ドキュメント番組の中で挟まれるドラマを髣髴とさせる。
特に古代文明特集を組んでいる海外番組では
こうしたリアルな感じを出したドラマを流しながら当時の様子を解説する。
もちろんそこには製作するにあたって有力である定説を基にしたり、
製作者の好みで選択された筋書きが存在している。
そのことによって鑑賞者に誤解を招く恐れがあることも当然ではあるが、
一つの説をピックアップし映像化することはとても有意義だと私は思う。
監督自身も製作に及び詳細な研究をしたと言っていることもあり、
一つのマヤ文明の形を具現化した作品だと思って見ればよいのではないだろうか。
2008年
出演:ルディ・ヤングブラッド
販売元:ポニーキャニオン
発売日:2007-11-21
おすすめ度:
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「パッション」「ブレイブハート」のメル・ギブソンがメガフォンをとり、マヤ文明の衰退を壮大なスケールで描いたアクション・アドベンチャー。マヤ文明後期の中央アメリカのジャングルを舞台に、狩猟民族の青年が過酷な運命に翻弄されながら家族を救うため奔走する姿を過激な残酷描写を織り交ぜハードなタッチで描き出す。セリフは全編マヤ語で、キャストは主に映画経験のない若者たちが抜擢された。
誇り高き狩猟民族の血統を受け継ぐ青年ジャガー・パウは、妻子や仲間と共にジャングルで平和な生活を送っていた。ところがある日、彼らの村は都会からやって来たマヤ帝国の傭兵による襲撃に遭う。なんとか妻子を涸れ井戸の中に隠すも、捕らえられたパウは他の仲間と一緒に街へ連れ去られてしまうのだった。そして、干ばつを鎮めるための儀式の生け贄になりかけるが、奇跡的にその犠牲を免れたパウ。しかし、それも束の間、今度は“人間狩り”の標的として広場に駆り出され、傭兵たちが放つ無数の槍や矢から必死に逃げ回る。これを機にジャングルの中へ飛び込み難を逃れたパウは、妻子の待つ故郷の村を目指し走り続けるが…。(allcinema)
全編をマヤ語を使い、出演俳優は無名ばかりという、
『パッション』に続くあの話題のメル・ギブソン監督作品。
彼の作品は、彼自身もまたそうだが、何かと話題を作っている。
今作も、学術的にも監督的にも物議をかもしている(らしい)。
残虐な暴力シーンはとても激しく、それだけで苦手な人もでてくると思う。
私は映画として若干の客観性をもって見ているので平気ではあるが、
それでもちょっとだけ眉間にシワが寄ってしまった場面もあるように感じる。
ただ映画というよりは、海外ドキュメント番組の中で挟まれるドラマを髣髴とさせる。
特に古代文明特集を組んでいる海外番組では
こうしたリアルな感じを出したドラマを流しながら当時の様子を解説する。
もちろんそこには製作するにあたって有力である定説を基にしたり、
製作者の好みで選択された筋書きが存在している。
そのことによって鑑賞者に誤解を招く恐れがあることも当然ではあるが、
一つの説をピックアップし映像化することはとても有意義だと私は思う。
監督自身も製作に及び詳細な研究をしたと言っていることもあり、
一つのマヤ文明の形を具現化した作品だと思って見ればよいのではないだろうか。
2008年
March 06, 2009
『そして、ひと粒のひかり』 (2004年アメリカ・コロンビア)
そして、ひと粒のひかり [DVD]
出演:カタリーナ・サンディノ・モレノ
販売元:日活
発売日:2006-04-07
おすすめ度:
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現実に起こっている問題が基となって映画になって、
でも結局私たちはこれを「映画」として見て、感じて、
コロンビアの現状について考える。
例えばそこに「映画」としての感動があれば、
何かを伝えることができるのだろうか。
事実を事実として受け止めるには私には何が足りないのだろうか。
この作品をコロンビアの17歳の、
運び屋となってしまった少女の物語を「映画」以上のものとして捉えるためには、
やはり私にはまだまだ知らないことが多すぎる。
2008年
出演:カタリーナ・サンディノ・モレノ
販売元:日活
発売日:2006-04-07
おすすめ度:
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17歳の少女を主人公に、南米コロンビアの非情な現実を描き出した衝撃のドラマ。お金を稼ぐため、危険な麻薬の運び屋となった少女が辿る過酷な道行きと心の成長をリアルかつスリリングに綴る。ヒロインを演じたカタリーナ・サンディノ・モレノはコロンビア人として初めてアカデミー主演女優賞にノミネートされ大きな話題となった。また、新人監督のジョシュア・マーストンも数々の賞を獲得、一躍期待の若手監督として大いに注目を集める存在となった。
コロンビアの小さな田舎町。バラ農園で単調な仕事に従事する17歳の少女マリア。母や幼児を抱えた姉をはじめ一家の家計はマリアの収入に頼っていた。ところがささいなトラブルで仕事を失い、おまけに愛してもいないボーイフレンドの子を妊娠してしまったマリア。追い詰められた彼女は、最大5000ドルという巨額の報酬に心動かされ、“ミュール”という仕事を引き受けてしまう。しかしそれは、麻薬を詰めた小さなゴム袋を大量に飲み込み密輸する運び屋のことで、もし胃の中で袋が破れたら死んでしまうというあまりにも危険な仕事だった。(allcinema)
現実に起こっている問題が基となって映画になって、
でも結局私たちはこれを「映画」として見て、感じて、
コロンビアの現状について考える。
例えばそこに「映画」としての感動があれば、
何かを伝えることができるのだろうか。
事実を事実として受け止めるには私には何が足りないのだろうか。
この作品をコロンビアの17歳の、
運び屋となってしまった少女の物語を「映画」以上のものとして捉えるためには、
やはり私にはまだまだ知らないことが多すぎる。
2008年
March 05, 2009
『ゲド戦記』 (2006年日本)
ゲド戦記 [DVD]
販売元:ブエナ ビスタ ホーム エンターテイメント
発売日:2007-07-04
おすすめ度:
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良い悪いはともかく、映画全体のイメージはとても静かな作りだと感じた。
今までの(宮崎駿の)作品はキャラクターの軽やかな動きと軽快な音楽で
重要なテーマを伏線にしてストーリー展開されていたと思うが、
今作はキャラクターの動きに激しさはなく、音楽的な盛り上がりもまた大きくはない。
それを迫力の無さとしてもいいかもしれないし、作風だと言えなくもない。
だから始まりから70分くらいまで、
テルーとアレンの影が城の門で会話するシーンまでは私は好きだった。
よろしくなかったのは重要なクライマックスを作り出す城内での場面。
原作を読まなければわかりづらいような作りは劇場単発作品としてはよろしくないと思う。
そして原作が持つ精神的な内面を描き出すにはやはり2時間は難しかったのかもしれない。
またテルーが草原の丘にて歌を歌うシーンはある意味印象的ではあるけれど、
展開として急過ぎて歌と歌い手がもつイメージが浮き上がって、
物語に溶け込んでいない感じを受けた。
やはり静かな映画。テルーの歌と街のイメージ曲以外あまり印象に残らなかった。
環境保護とか深い作品の芸術性とかを考えずにもっとシンプルに、
アクションを取り入れてゆく方がまだまだ良い段階かな、なんて思う。
あとは主人公が曖昧な作品は作り手に難しい注文を課すのだろうと感じた。
2008年
販売元:ブエナ ビスタ ホーム エンターテイメント
発売日:2007-07-04
おすすめ度:
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ル=グウィンの名作ファンタジー『ゲド戦記』をスタジオジブリが映画化した長編アニメーション。巨匠・宮崎駿監督の息子、宮崎吾朗の第一回監督作品。声の出演は主人公アレン役に岡田准一、ヒロインのテルー役には新人・手嶌葵。
多島海世界“アースシー”では、西海域の果てに棲む竜が、突如、人間の住む東海域に現われ共食いを始めた。それに呼応して、世界ではさまざまな異変が起こり始める。世界の均衡が崩れつつあるのだった。偉大な魔法使い、大賢人ゲドは、災いの源を探る旅に出る。やがて彼は、心に闇を持つ少年、エンラッドの王子アレンと出会う。影におびえるアレンを伴い、旅を続けるゲドは、ホート・タウンの街はずれにある幼なじみテナーの家に身を寄せる。そこには親に捨てられた少女テルーも住んでいた。彼女は、自暴自棄になっているアレンを激しく嫌悪する…。(allcinema)
良い悪いはともかく、映画全体のイメージはとても静かな作りだと感じた。
今までの(宮崎駿の)作品はキャラクターの軽やかな動きと軽快な音楽で
重要なテーマを伏線にしてストーリー展開されていたと思うが、
今作はキャラクターの動きに激しさはなく、音楽的な盛り上がりもまた大きくはない。
それを迫力の無さとしてもいいかもしれないし、作風だと言えなくもない。
だから始まりから70分くらいまで、
テルーとアレンの影が城の門で会話するシーンまでは私は好きだった。
よろしくなかったのは重要なクライマックスを作り出す城内での場面。
原作を読まなければわかりづらいような作りは劇場単発作品としてはよろしくないと思う。
そして原作が持つ精神的な内面を描き出すにはやはり2時間は難しかったのかもしれない。
またテルーが草原の丘にて歌を歌うシーンはある意味印象的ではあるけれど、
展開として急過ぎて歌と歌い手がもつイメージが浮き上がって、
物語に溶け込んでいない感じを受けた。
やはり静かな映画。テルーの歌と街のイメージ曲以外あまり印象に残らなかった。
環境保護とか深い作品の芸術性とかを考えずにもっとシンプルに、
アクションを取り入れてゆく方がまだまだ良い段階かな、なんて思う。
あとは主人公が曖昧な作品は作り手に難しい注文を課すのだろうと感じた。
2008年
March 04, 2009
上橋菜穂子『夢の守り人』
夢の守り人 (新潮文庫)
著者:上橋 菜穂子
販売元:新潮社
発売日:2007-12
おすすめ度:
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夢。
人は夢を見る。
どうしようもない生活から、今の自分から、
逃げ出したくて夢を描き、夢の世界へと入り込んでいく。
けれど、人は夢から覚め、
またいつもの現実が自分を取り巻いていることに気付く。
ならば夢を見ることは、
現実からの逃避として弱いものだと思われているかもしれない。
けれど夢を見なければどうしようもないこともある。
それで助かる人もいるし、一方でまた
夢から抜け出せずに死んでいく人だってもちろんいる。
夢を見ることは人の心の、
一つのバランスを担っているものなのかもしれない。
著者:上橋 菜穂子
販売元:新潮社
発売日:2007-12
おすすめ度:
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夢。
人々の夢を自分の心に溶けこませたことで、夢みることが秘めている痛みを ―夢をみずにはいられない人の痛みを、ユグノは、はじめて知ったのだった。(312)
人は夢を見る。
どうしようもない生活から、今の自分から、
逃げ出したくて夢を描き、夢の世界へと入り込んでいく。
けれど、人は夢から覚め、
またいつもの現実が自分を取り巻いていることに気付く。
ならば夢を見ることは、
現実からの逃避として弱いものだと思われているかもしれない。
けれど夢を見なければどうしようもないこともある。
それで助かる人もいるし、一方でまた
夢から抜け出せずに死んでいく人だってもちろんいる。
夢を見ることは人の心の、
一つのバランスを担っているものなのかもしれない。
March 03, 2009
『コーヒー&シガレッツ』 (2003年アメリカ)
コーヒー&シガレッツ【廉価2500円版】 [DVD]
出演:ケイト・ブランシェット
販売元:アスミック
発売日:2007-03-02
おすすめ度:
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コーヒーとタバコをテーマに置いて作れたモノクロ短編集と言った感じの作品。
それぞれにつながりがあるわけでもないので、やはり短編集になるのかな。
緩やかなユーモアに溢れた作品群なので、大笑いをしたい人ではなくて、
夜中にコーヒー飲みながらまったり穏やかに過ごしたい人に送る作品。
本格的に劇場で見る、というのとは違うね。
2008年
出演:ケイト・ブランシェット
販売元:アスミック
発売日:2007-03-02
おすすめ度:
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インディペンデントの雄、ジム・ジャームッシュ監督が“コーヒー”と“タバコ”をめぐる11のエピソードを綴った珠玉の短編集。ロベルト・ベニーニ、ケイト・ブランシェット、イギー・ポップ、トム・ウェイツはじめ、個性溢れる俳優やミュージシャンが集い、コーヒーを飲みながら、あるいはタバコを吸いながら、とりとめのない会話を繰り広げてゆく。
本作のプロジェクトはもともと86年にアメリカの人気テレビ番組『サタデー・ナイト・ライブ』のため、ロベルト・ベニーニとスティーヴン・ライトを起用して撮り上げた一編「コーヒー&シガレッツ/変な出会い」が始まり。89年にはジョイ・リー、サンキ・リー、スティーヴ・ブシェミによって2作目「双子」がつくられた。続く93年の「カリフォルニアのどこかで」ではイギー・ポップとトム・ウェイツの顔合わせでカンヌ映画祭の短編部門最高賞も手にしている。以後も10年以上にわたって撮りためられた全11編がここに集結、至福のリラックス・タイムを提供してくれる。(allcinema)
コーヒーとタバコをテーマに置いて作れたモノクロ短編集と言った感じの作品。
それぞれにつながりがあるわけでもないので、やはり短編集になるのかな。
緩やかなユーモアに溢れた作品群なので、大笑いをしたい人ではなくて、
夜中にコーヒー飲みながらまったり穏やかに過ごしたい人に送る作品。
本格的に劇場で見る、というのとは違うね。
2008年
March 02, 2009
『こわれゆく世界の中で』 (2006年イギリス・アメリカ)
こわれゆく世界の中で [DVD]
出演:ジュード・ロウ.ジュリエット・ビノシュ.ロビン・ライト・ペン.マーティン・フリーマン.レイ・ウィンストン.ヴェラ・ファーミガ.ラフィ・ガヴロン.ポピー・ロジャース.ジュリエット・スティーヴンソン
販売元:ウォルトディズニースタジオホームエンターテイメント
発売日:2007-09-19
おすすめ度:
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「真実の愛」を求める大人のラブストーリー、と銘打っていることもあるけれど、
私はそんな風には感じなかった。
邦題は『こわれゆく世界の中で』であるが、
原題は『Breaking and Entering』となっている。
そのまま訳してしまえば、”壊すこと”と”入ること”ということになるわけだが、
邦題よりもこの二つの言葉をキーワードとしてこの作品を見て欲しいと思う。
少年は壊して侵入していき、主人公もまた壊し入ってゆこうともがく。
それが何かは映画の本筋であるだろうから、
そこを見ているとこれがラブストーリーかというと、
もう少し精神的なものに思えてくる。
もちろん『こわれゆく世界の中で』という題名はキャッチーで、
作品の雰囲気というよりは背景や舞台を表しているようで面白い。
単純にサラエボの問題を取り上げるだけではなく、
またロンドンの状況を見つめるだけではなく、
むしろそれらを舞台としてきっちり収めて、
中途半端に作品の中で伏線じみた演出を出していないところは落ち着きがあっていいと思う。
(妙に深みを出そうとあちこちに別の話を盛り込むと2時間映画として収まりが悪い)
こわれてゆく世界に音はないように感じさせてくれた作品。
そして最後近くのシーンでウィルとリヴが抱き合うシーンに、
特にリヴの仕草に半ばフェードアウトしながらの風景ではあるけれど、
終わり方として良いなと私は思えた。
同じ監督作品として『イングリッシュ・ペイシェント』を見ないといけない。
2008年
出演:ジュード・ロウ.ジュリエット・ビノシュ.ロビン・ライト・ペン.マーティン・フリーマン.レイ・ウィンストン.ヴェラ・ファーミガ.ラフィ・ガヴロン.ポピー・ロジャース.ジュリエット・スティーヴンソン
販売元:ウォルトディズニースタジオホームエンターテイメント
発売日:2007-09-19
おすすめ度:
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現代のロンドンを舞台に、それぞれに問題を抱えた子供との関係に苦悩する2人の女性と、そんな2人と恋に落ちたひとりの男の葛藤を描いたドラマ。出演はジュード・ロウ、ジュリエット・ビノシュ、ロビン・ライト・ペン。監督は「イングリッシュ・ペイシェント」「コールド マウンテン」のアンソニー・ミンゲラ。
ロンドンのキングス・クロス。建築家のウィルは、この地区にオフィスを開き、都市再開発の巨大プロジェクトを請負っていた。私生活では映像作家リヴとその娘と暮らしていたが、心のバランスを崩して苦しむ娘の存在がリヴとウィルの間に暗い影を落としていた。そんな時、彼のオフィスが2度も窃盗の被害に遭う。やむを得ず自ら夜のオフィスを見張り始めたウィルは、やがてオフィスに侵入しようとしていた少年を発見、少年の身辺を探るうち、次第に彼の母親アミラに心惹かれていく。(allcinema)
「真実の愛」を求める大人のラブストーリー、と銘打っていることもあるけれど、
私はそんな風には感じなかった。
邦題は『こわれゆく世界の中で』であるが、
原題は『Breaking and Entering』となっている。
そのまま訳してしまえば、”壊すこと”と”入ること”ということになるわけだが、
邦題よりもこの二つの言葉をキーワードとしてこの作品を見て欲しいと思う。
少年は壊して侵入していき、主人公もまた壊し入ってゆこうともがく。
それが何かは映画の本筋であるだろうから、
そこを見ているとこれがラブストーリーかというと、
もう少し精神的なものに思えてくる。
もちろん『こわれゆく世界の中で』という題名はキャッチーで、
作品の雰囲気というよりは背景や舞台を表しているようで面白い。
単純にサラエボの問題を取り上げるだけではなく、
またロンドンの状況を見つめるだけではなく、
むしろそれらを舞台としてきっちり収めて、
中途半端に作品の中で伏線じみた演出を出していないところは落ち着きがあっていいと思う。
(妙に深みを出そうとあちこちに別の話を盛り込むと2時間映画として収まりが悪い)
こわれてゆく世界に音はないように感じさせてくれた作品。
そして最後近くのシーンでウィルとリヴが抱き合うシーンに、
特にリヴの仕草に半ばフェードアウトしながらの風景ではあるけれど、
終わり方として良いなと私は思えた。
同じ監督作品として『イングリッシュ・ペイシェント』を見ないといけない。
2008年