October 2013

October 14, 2013

こうの史代 『夕凪の街 桜の国』 全1巻



しあわせと思うたび
美しいと思うたび
愛しかった都市のすべてを
人のすべてを思い出し
すべて失った日に
引きずり戻される
おまえの住む世界は
ここではないと
誰かの声がする
(P25より)
美しい作品だと思った。
一方でその清潔さに隠れない原爆が残した残酷な傷跡が、
戦争を知らない世代の僕に戦争が持つ時間では消えない重さを、
そこから生み出る人の感情を恐怖させる。
それでも美しいと感じた。
それはなぜかというとまぁ、ありていに言ってしまえば人間讃歌なのだろうなと思う。

半世紀以上経った今でも戦争の話が消えていくことはないけれど、
戦争経験者の数は次第に減ってきているから、
直接的な記憶の存在は薄れていくように感じる。
だから今度は記録と感情とで作られた戦争という過去の出来事を
今から未来に向けてどう導いていくのか、それを考えなければいけない。

戦争だけではなく、世界だけでなく、自分自身の過去についても、だろう。

少し、今更な感じでこの作品を読んだ。


夕凪の街 桜の国 [DVD]
田中麗奈
東北新社
2008-03-28


原作との違いは微々たるものなので概ね流れは同じだった。
最後のシーンは、映画特有のシメみたいなものだろう。

原作を読んで感動したらそれで十分かな。


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October 13, 2013

『さよなら子供たち』 (1987年フランス・西ドイツ)

さよなら子供たち [DVD]
ガスパー・マネス
カルチュア・パブリッシャーズ
1999-11-17






ルイ・マル監督が描く、自伝的色彩が濃厚なナチス占領時代の少年もの。1944年、ナチス占領時代のフランス。パリからカトリック寄宿学校に疎開している 12歳の少年ジュリアン・カンタンの学校に、ある日ジャン・ボネという少年が転入してくる。彼は少し変わってはいるが、数学、国語、ピアノなど学業優秀で ジュリアンのライバルとなった。初めはどこか打ち解けない2人だったが、次第に連帯感が生まれてきたその頃、ふとしたことからジュリアンは、彼が偽名を 使って転入してきたユダヤ人であることを知る……。 (allcinemaより)

好きな作品。実に10年ぶりに見た。
10年も経つと違う作品に見えるというよりことではなく、
むしろ新しい作品に思えるほど以前の記憶が曖昧だったことに気付いた。
好きだったんだけどなぁ。


劇的な音楽も演出もなく、上述のストーリーが淡々と、粛々と描かれており、
娯楽映画としてみるならばひどく退屈と言わざるを得ない。
しかし作品中に感じられる静観さが最後のシーンへと集約され、
忘れえぬ記憶を描き出した作品として完結している。

モノローグで監督は語る。

私は死ぬまであの1月の朝を忘れない。


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October 12, 2013

中原アヤ 『ラブ★コン』 全17巻


主人公の小泉リサの顔変化(へんげ)が面白い、漫画。

男子よりも女子の身長が高い、友達としての付き合いがしっくりしている二人の関係。
男女間のギクシャクした関係もなく、女子グループ内でのドロドロもなく、
関西弁トークで笑いながら爽やかにササッと読めた。
言葉が面白い。

キュン死に
胸キュンのあまり死にそうになること。キュン殺しと共にリサが大谷に対して使う。特に女子中高生の間でファン以外にも広まり、流行語となった。キュン死にさせることがキュン殺し。(使用例:「キュン殺し犯で逮捕したろか、このオッサン」) (wikipedia)


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October 11, 2013

「ここにいます」

ここにいます
DMC-GX7 with Voigtlander Nokton 25mm F0.95

GX7のシャッタースピードは最速で1/8,000秒だ。
この速度があるおかげで、ノクトンF0.95という開放に一つ余裕ができる。
できればND4くらいの減光フィルターを使った方がよさそうではあるけれど、
GX7とノクトンの組み合わせは非常に満足感がある。


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October 10, 2013

「私は私で」

私は私で
DMC-GX7 with Voigtlander Nokton 25mm F0.95

可動式の背面液晶は便利だ。
今までなかったこの利点はローアングルからの撮影を楽にするだけではなくて、
二眼レフカメラみたいに、ミゾオチ前にカメラを構えて撮影することも可能にする。
このスタイルが好きなので、可動式液晶は非常に好ましい。


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October 09, 2013

「夜に浮かぶ」

夜に浮かぶ 夜に浮かぶ
DMC-GX7 with Voigtlander Nokton 25mm F0.95

F2.0〜4.0くらいがちょうどいい。
ふんわり0.95だと被写体、構図をもっと違うものにして、それを活かす形を見つけなければいけない。

最短17cm。
近接撮影できるレンズはいい。
Carl Zeiss Flektogon 35mm F2.4を思い出す。


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October 08, 2013

「風に触れる」

風に触れる
DMC-GX7 with Voigtlander Nokton 25mm F0.95

台風が近づいているし、道路脇だから風が吹いている。 それらが止まった瞬間。


COSINA Voigtlander Nokton 25mm F0.95


マイクロフォーサーズ用レンズとしては重く、
GX7に取り付けた状態だとずっしりとレンズ側に傾く。
だからレンズの下からすくい上げるように左手を添えることになるのだけど、
だからこそマニュアルフォーカスと絞り操作がしっくりとくる。
カチカチという絞りリングの心地よさ。
フォーカスのぬるっとした安定感。
持つだけで構えたくなる。シャッターを切りたくなる。

とりあえず「夜」に由来するレンズ名「ノクトン」がかっこいい。


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October 07, 2013

吉浦康裕×太田優姫 『イヴの時間』 全3巻

イヴの時間(3)(完) (ヤングガンガンコミックス)
吉浦 康裕
スクウェア・エニックス
2012-04-25

限りなく人間に近い容姿を持ったアンドロイドが家電として浸透している未来。
カフェ”イヴの時間”でのルールは、人間とアンドロイドを区別してはいけないというもの。
不思議な場所で関わり合う、人とアンドロイド、両者の心を描いた作品。
嬉しいと思ったのは本当なんでしょう?
なら その気持ちを大切にしなきゃ
自分が嬉しいと思ったって事を伝えれば 相手も嬉しいハズよ
リクオ君が感じたその「嬉しい」を その人にも返してあげたらいいんじゃないかな

人が人を思いやるということを、人と人との関係性の中で描くとしたら、
ドラマ性や小説のような演出が必要になってくる。
人とロボットの間でならどうだろう。そこにもやはり同じようなものが当然あるだろう。

ならば人と、人間型ロボット、とならどうだろう。


相手のことを思いやることはどうも難しい。
少しずつ、確かめるように、探りながら近づいていく。怯えながらも、少しずつ。
本当に相手の為になっているのか、喜んでもらえているのか。

相手が”人の形をした機械”であることが
そうした人として当たり前の不安をより明らかなものとして描き出す。
『イヴの時間』に登場するアンドロイド達を本当の人として、違う視点から見る時、
この物語に込められた本質的な心の在り様を見つけられるような気がする。


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October 05, 2013

『rain』

綺麗だなと思った。2〜3時間で終わる所や人物に合わせたカメラワークがまるで映画のようだと思わせた。
台詞はなく、全ての言葉が画面上に浮かび上がるように示されているから、雨の静けさやそこに内包した暗いものが壊されずにいる。
PS3では特に変哲も無いただキャラクターが走るシーンでさえも、なぜかものすごく情感を味わわせていて、やっと出会えた少年と少女が一緒に走っていくシーンはゲームが描き出す夜の雨の不安さの中でひときわの安心感に包まれて見えた。
期待通り、素晴らしかった。

『rain』
PlayStationR3 ダウンロード専用タイトル
発売日 2013/10/03
販売価格 1,500 円(税込)
オフィシャルサイト



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October 03, 2013

Androidアプリ 『ComittoN』(Comic & 青空文庫 Viewer)

ComittoN (Comic & 青空文庫 Viewer) - Google Play の Android アプリ

要するに電子書籍や青空文庫のテキストデータを読む為のものだ。
これまで使っていた『Perfect Viewer』と決定的に違うのは、
ネットワーク上のデータもそのまま閲覧できるという点だ。

わざわざスマートフォンにデータ転送しなくても、
パソコンに保存されたデータを無線LAN経由で直接見ることが出来るというのは、
電子書籍をよく利用している人にとってはかなり便利だと思う。
実際かなり有用だ。

閲覧自体もPerfect Viewerと遜色なく使えている。
一部画像データが(重すぎたのか)表示できなかったが、
その他は全く問題もなくソファの上からパソコンにアクセスしている。
実に人をダメにするアプリの一つなのだ。

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October 02, 2013

CLAMP 『こばと。』 全6巻

こばと。 (6) (角川コミックス・エース 45-20)
CLAMP
角川書店(角川グループパブリッシング)
2011-08-25


アニメ版の最初数話をちょろって見ていたので話はわかったけれど、
第1巻を読み始めたばかりの時は世界観がよくわからない感じがするように思えた。
なので「やっぱりCLAMPは綺麗な線を描くなぁ」とか気楽な感じで読み続けた。

主人公の小鳩は小さな瓶に、傷ついた人の心を集めている。
どういうわけか世間とずれている彼女の素性やいつもそばにいるぬいぐるみ「いおりょぎさん」、
そして恐らく最後につながるであろうそれを集める目的は伏せられたまま、物語は進んでいく。
世間ずれした彼女であっても、一生懸命さが人の心に訴えかけていくものは大きい。
と、こういう話はよくある形なのであまり大人の汚れた目線で見てはいけない作品。
ただ誰かを癒したいと思うことを純真な少女を基にしてファンタジックな王道で描いているのだから、
やっぱり気軽に読めば存分に面白い作品だった。

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木村太彦 『瀬戸の花嫁』 全16巻

瀬戸の花嫁(16)(完) (ガンガンコミックスJOKER)
木村 太彦
スクウェア・エニックス
2011-02-22


先に見ていたアニメ版はかなり面白かったので、
瀬戸内育ちとしては原作漫画も読んでおかなければいけない。

ラストに違いはあるものの、構図としては同じなので違和感もなく馴染めたが、
15巻あたりから、作者の2年に及ぶ休載か連載誌休刊の影響かで、
絵柄がおややっていうほど変わっていた。
しかしまぁアニメ版のラストの方が熱くて好きだ。

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October 01, 2013

マイクロフォーサーズへ

P1080038-1
DMC-GX7 with Olympus 45mm F1.8

Panasonic DMC-GX7


中級一眼レフの中でも小型の部類に入るPENTAX K-5でさえも重いと感じるテイタラクと、
デジタル画像へと処理するのだから光学よりもEVFで画像を見た方が理屈に合うといった言葉もあって、
マイクロフォーサーズ系へとマウント移行。
PENTAXは変わらず好きなので、いろんな余裕ができたらKマウントへ舞い戻りたい。

GX7のEVFは本体の左側にある為、右目を押し当てた時に背面液晶に鼻の脂が付かない。
正直これだけでも結構な価値があるし、クラシカルなカメラはファインダーが左側にある印象なので、
GX7のデザインとして正しい感じがする。

Olympus M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8を付けて撮影。
今年発売されたブラックモデルは、GX7のシルバーボディとも良く似合う。

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