November 15, 2013
石川雅之 『純潔のマリア』 全3巻
中世の魔女というと、実際には魔法使いではなく、
占い師、呪術師、薬師といった類のもので、
ひどく平たい物言いをすればキリスト教から異端視された
土着の存在だった。
この作品が面白いなと思う点は、
その異端視されていた魔女が人と神の愛を最後に知るという所だ。
異端からの脱却、改心するという話ではない。
周縁にいるからこそ気付けた、人が持っている愛と神の愛はいかなるものか、
天の意に沿わぬとして断罪される魔女マリアがラストで語る。
だからこそ魔女なのにマリアという名前であることは、
言葉遊びではなく、良いネーミングだと感じた。